−歌パロShort story− ロード全章SS
ロード 〜第四章〜
by Sin
風が少しずつ暖かくなっていく。
本当なら、もうすぐ俺も父親になるはずだったのに・・
春は雪を溶かし・・君だけを想い出にしてしまった。
抱きしめると、俺の腕が余ってしまうほど華奢だった君の身体。
壊してしまいそうで、抱き寄せているはずの俺の方が逆に震えて、まるで母親に抱かれる子供みたいだった。
君は君の涙・・俺は俺の涙・・
過去に零れた違う二つの涙・・
重なった二つの涙・・
頬に・・そして心に落ちて・・傷を流していった・・
いつも無気力に過ごしていた。
夢も、未来さえも考えられずに・・
この小さな部屋で、夢を見る事さえも許されない愛だと罪に感じていた。
未来も見えず、なにもできない俺・・
明日も見えない道を歩いてきたけれど、こんな俺に君は、
「だったら・・私を守って欲しい・・」
そう言ってくれていた・・
周りがなんて言おうと、君がいたから・・君と出会う事が出来たから・・
俺は生まれ変われた。
君が俺の全てを変えたんだ・・
「もう少しで、亮治もお父さんだね」
そう言って笑っていた悠子。
けれど・・長い2人の冬も終わり、幸せが通り過ぎてしまったあの夜・・
カレンダーの印を見ては、「あと半年だね」と言っていた君の、その瞬間にはずっと側にいてあげる約束だったのに・・
君は君の命・・俺は俺の命・・
そして、君の中に息づいていたもう一つの命・・
失くしてしまった・・二つの・・命・・
白いベットに横たわる君・・
早すぎるだろう・・?
俺は呟く・・
いつも先に歩いてしまう俺の腕を掴んで、
「置いていかないでよ」と、いつも言っていたのは・・君じゃないか・・
俺を・・置いていかないでくれよ・・・
もうすぐ俺も父親になるはずが、春は雪を溶かし・・
君だけを想い出にしてしまった。
でも・・
いつかきっと君も生まれ変われるはずだ。
また、俺達が巡り逢い、共にこの道を歩く為に・・
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