Short Short 劇場
≪梁 明≫様 Ver.

第19幕
『レムリア・インパクトU』


 ひゅおおおおおおぉぉっ!!

 荒野に突風が吹き、砂埃が舞う。
 そこには先程からデモンベインと皇峨が対峙していた。皇峨は二刀を構え、デモンベインは右前の半身で、右掌を皇峨に向けて構えている。
「ウィンフィールドとの闘いは、確かに己の渇望を癒してくれた。だが、貴様とのケリはまだ付けていなかったな」
「ああ、アンタには機械神での闘いもあるからな。重傷の執事さんの仇はオレが取る!」
「気負っているな。そんな貴様なら、一太刀で充分だ」
「言ってくれるじゃネェか……それならば、これを受けてみやがれ!
 ヒラニプラ・システム、アクセス!」
 いきなりの大技に、アルが驚いて振り向いた。
「いくら何でも、無茶であろう!」
「考えがある!」
 デモンベインは皇峨に対して右手を向ける。その掌には魔力が集まり、超々高温の球となっていった。

「オレはこの一球に、己の魂の全てを込める。
 一球勝負だ! ティトゥス!!」

「来いっ! 大十字九郎!!」

 デモンベインが右手の火球に左手を添えて振りかぶる。
 皇峨はデモンベインに対し、真っ正面で剣を構えた。
 デモンベインが野球の投球フォームで皇峨に向かって大きく踏み出す。
 皇峨がデモンベインに向かって左足を軽く踏み出した。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!
 レムリア・フォーティーフォー・インパクトおおおぉぉっ!!」

 デモンベインが皇峨に向かってレムリア・インパクトのエネルギーを投げつけた。すると、球の軌道に沿って炎の道ができ、それは皇峨へと真っ直ぐ伸びていった。
「むんっ!!」
 皇峨が左の剣を横薙ぎに振る。

 パキイイイィィィンッ!!
 ギュオオオオオオオオオオォォ!!

 剣は球を捉えていた。だが、その球威に押されていく。
「ぬおおおおおおぉぉぉおぉぉぉっ!!」

 ドガアアアアァァアァァンッ!!!

 皇峨は右の剣を上段から叩き付け、十字を描いた。
「昇華!!」
 アルの叫びと共に、エネルギー弾がはじける。

 ドドドドドドドドドドオオオォォオォォォォオオンンンン………

 爆発の衝撃は凄まじく、デモンベインですら後ろに転がっていった。
「うわああぁあああぁぁぁ!!」
「うにゃあああああぁあああぁぁっ!!」

 三百メートルほど転がって、やっと止まる。
「くっ……、ヤツはどうなったんだ……?」
「これだけの爆発だ、無事では済むまい」
 何とかデモンベインを立たせ、爆心地に向かう。そこには、今までとは比較にならないほどの巨大なクレーターができていた。そしてその中心には、皇峨がいたのだ。
 皇峨は両腕をなくし、その場に片膝をついている。
「あんな爆発の中で、よく生きてたもんだ」
「ふっ、アンチクロスを嘗めるな」
「嘗めちゃいねぇよ。呆れただけだ。だが、レムリア・フォーティーフォー・インパクトは打たれ……」
「我が剣は腕ごと砕けた……」
「引き分けだな……」
 皇峨が立ち上がり、クレーターから去っていこうとする。
「おい、どこへ行くんだ」
「己の力不足を実感した。山へ帰る。修行のやり直しだ」
「そうか……って、こんなチャンスで逃がすわけないだろう!!
 ティマイオス!! クリティアス!!」
 断鎖術式シールドを解放し、デモンベインが空高く舞い上がった。
「むっ?! この場は引くか……」
 皇峨は足下に魔法陣を描き、そこに吸い込まれていく。
「くそっ!! 逃げられたか」
「汝がとろいからだ」
「ま、逃げられたモノはしょうがない。それよりもだ。今回の技はどうだ? なかなかの威力だったろ?」
「良くない。そもそもレムリア・インパクトは相手の機体に直接注ぎ込み、体内で爆発させてこそ意味があるのだ。
 それを投げつけるとは、ただいたずらにエネルギーを振りまいただけに過ぎん」
「そ、そんな……」
「郊外とはいえ、今までにないほどの甚大な被害じゃぞ? 覇道の小娘が何と言うか」
 街の方を指さすアル。爆風でかなりの建物が倒壊していた。
「しまった……」
『しまったじゃありませんわ!! 大十字さんっ!!』
「げげっ」
『アナタよくもこれだけの被害を出しておきながらむざむざとアンチクロスを取り逃がしただなんて……』

 瑠璃の説教は、二時間続いた。


 合掌


教訓「やれやれ、九郎には日本のアニメは見せない方がよさそうじゃな……」


PS.ナイアガラの滝で皇峨が剣を振るっている姿が確認されたとさ。

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